候補アーティストの紹介

青柳菜摘

1990年東京都生まれ。2016年東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。主な展示に「彼女の権利——フランケンシュタインによるトルコ人、あるいは現代のプロメテウス」 (NTTインターコミュニケーション・センター [ICC], 2019)、「冨士日記」(NADiff Gallery, 2016)、第10回 恵比寿映像祭(東京都写真美術館, 2018)、「家の友のための暦物語」(三鷹SCOOL, 2018)等がある。『孵化日記2011年5月』(thoasa publishing, 2016)、小説『黒い土の時間』(自家版, 2017)等の書籍も発表。プラクティショナーコレクティヴであるコ本や honkbooksを主宰。「だつお」というアーティスト名でも活動中。

「現在の私たちの世界は、様々なメディアによって記録され、ログが残されている。青柳菜摘の作品は、そうした非人間的な視点の存在を意識しながらも、日々の小さな変化を捉えるきわめて個別的な感覚をどのように残すことができるかを主題としている。蝶の孵化のような小さな変化をどのように捉え、自分のものとすることができるのか、あるいはそれは不可能なのか。彼女の作品は、現在の世界状況に敏感に反応しつつ、人間らしい血の通った営みを、日々どう刻印していくかという試みの連続である」- T.Y.

作品

藤倉麻子

埼玉県生まれ。東京外国語大学南・西アジア課程ペルシア語専攻を卒業後、東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻を修了。3DCGにより生成したイメージやアニメーション、空間表現などを中心に制作を行う。主な個展に「群生地放送」(NTT インターコミュニケーション・センター[ICC]、東京、2018)。「LUMINE meets ART AWARD 2019-2020」グランプリ受賞。

「第22回文化庁メディア芸術祭」アート部門、審査委員会推薦作品に選出。「首都圏近郊の工業地帯に生まれ、開発途上にあるインフラの構造物が林立する風景のなかで育った藤倉は、その原風景をもとに、3DCGアニメーションによる、極彩色の空間のイメージを制作する。無人の空間に、独自の動きを持つ高速道路や下水道など都市のインフラの断片が配された風景は、彼女にとっては自然と人工物、人間と非人間を超えた、原初的な風景のイメージであり、人間の限定された生から私たちを解放してくれる、奥行きを持った楽園のヴィジョンである」-T.Y.

作品

長谷川愛

               

静岡県生まれ。岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー(通称 IAMAS)にてメディアアートとアニメーションを勉強した後ロンドンへ。英国Royal College of Art, Design Interactions にてMA修士取得。2014年から2016年秋までMIT Media Lab,Design Fiction Groupにて研究員、2016年MS修士取得。2017年4月から2020年3月まで東京大学 特任研究員。2019から早稲田大学非常勤講師。2020から自治医科大学と京都工芸繊維大学にて特任研究員。アーティスト、デザイナーとして活躍中。

「長谷川愛は、バイオアートやスペキュラティヴ・デザイン等の手法をもとに、生物学的課題や科学技術の進歩をモチーフとして、よりよい未来へ向けた提言の形をとる実験的な作品を多数発表してきた。それらは、愛や生殖など他者との関係の諸条件についてユーモラスに言及しつつ、ジェンダーやカタストロフなど、現代社会に潜む諸問題への鋭い批評となっている」- T.Y.

作品

石原海

               

東京都生まれ。東京藝術大学の卒業制作『忘却の先駆者』がロッテルダム国際映画祭に選出(2019)。『英国テレビBBC4放映作品『狂気の管理人』(2019)を監督。資生堂アートエッグ入選(2021) 初長編映画『ガーデンアパート』。現代芸術振興財団CAF賞 岩渕貞哉賞受賞(2016)。

「石原海は、個人史にのっとったパーソナルな関係から出発しながら、ジェンダーや貧困などの社会について思考してきた。近年は、ルイ・ヴィトンなどファッション関係のヴィジュアルの仕事も手掛ける一方で、貧困に陥った人たちを救済する教会を舞台に、家族にも地域社会にも居場所のない人たちとともに生活しながら、彼らをモチーフに新しい共生と生き方を模索する作品を制作している」 - T.Y.

作品

渡辺志桜里

東京都生まれ。中央大学文学部仏文学専攻卒業。東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。 主な展示として「Dyadic Stem」(キュレーション・高木遊, The 5th Floor, 2020) 、「ノンヒューマン・コントロール」(TAV GALLERY, 2020) 、「ベベ」(個展, キュレーション・卯城竜太 (Chim↑Pom) , White House, 2021)がある。

「渡辺志桜里は、皇居から採取した水をもとに、循環する自律した生態系を維持しながら、それを部分的に切り取って株分けしていく作品を制作している。そこに外来種や純血種、絶滅種など、生物環境と人間社会との摩擦を暗示するモチーフを挿入することで、人種問題や天皇制、人間が絶滅した後の未来のヴィジョンなど、多層的なメタファーを鑑賞者に喚起させる」ーT.Y.

作品